She reads.

てすと

お絵描きタイム

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俺が絵を描く姿を見て、自分もと描き始めた甥っ子。


「どうやって描くん?」「僕のんは全然違う」「下手くそやぁ」と散々嘆く。 

「絵に正解なんてないんやで」と慰めるも、悔しさは収まらない様子。


正解も不正解もない「自分らしい絵」なるもんを彼に見せてやろうと、黙々と絵を描き進めていると、隣の甥っ子が急に泣き始めた。

静かに、大粒の涙を描いたばかりの絵にポトポト。

一体何の涙なのか分からず困惑。


が、瞬時にこれは「悔し泣き」なんやと察して、彼を強く抱きしめたくなる。

「大人やから上手いの当たり前やん」なんてことは微塵も思わず、「何で僕は」と歯がゆむ気持ち。優劣を真っ直ぐ受け止める純粋さ。


大袈裟かもやけど、彼にとってそれは初めて痛感した「無力さ」やったのかも知れん。

そんな風に自分も小さい頃に感じたことを思い出して胸が熱くなった。

目に映る世界が少しずつ鮮明になって、「自分」を見つめ、初めて経験した「悔しさ」。


大人になって、「悔しさ」を繰り返すうちに、そのバネはどんどんその反発力を失ってしまう。

誰かに負け悔しむ自分から逃げようとする。否定されることを恐れるようになる。

年を重ねて「経験」を積むほどに、失うものもあるんだと気づかされたお絵描きタイムでした。