She reads.

てすと

25歳は病む年齢

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人は何故生まれ生きてゆくのか。人間は何故存在しているのか、本当に世界は存在するのか。

 


小さい頃、そんなことを考える時期があった。

 


なぜ空から水滴が落ちてくるのかを疑問におもって、それを何の衒いなく大人に聞いたことを覚えている。

 

 

 

道路脇に植えられた植物の葉についた水滴に手を触れながら「ほら、こうすれば水滴が落ちるでしょ」と説明されて、「そうゆうことじゃなくて、本当のことは知らないの?」と小さく憤ったことを覚えている。

 


それぐらいの可愛い疑問であれば数年後にどこかで知ることができたのだけれど、言葉にして誰かに聞いたりすることが出来ずにいた疑問も沢山あった。

 


生まれてきた意味や目的、世界は何でできているのか、「自分」とは何なのか。

 


小さい頃から感じていた小さな疑問が重なりが大きな塊となって、今こんな年になってもずっと消えずにいる。

 


得体の知れない黒い大きなオブジェのような物質を、部屋の真ん中からずっと動かせずにいるみたいに、それはずっとこれからもその場所に存在し続けるようでもある。

 

 

 

楽しそうにしてるカップルもこんなもん【短編小説】

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灰色の薄い雲が、空をムラなく覆っていた。雨が降るかも、と思ったけど、思い切って傘は置いていくことにした。

 

光沢のある黒のデッキシューズと緩めのジーンズ、黒の七分袖のシャツという服装は、昨日からなんとなく決めていた。

 

長い間付き合っているカップルから漂う緩さ、そんな肩の力を抜いた服装でありたかった。

 

いつもより丁寧に身支度を終え、最後に赤の口紅だけ塗り直す。

 

 

「ここのカフェで待ってるね」と彼はメッセージの後に地図アプリに赤いピンが示されたリンクを送ってきて、何度か待ち合わせをしたことがあるカフェだから、そんなわざわざご丁寧に、という感じであったのだけれど、ありがとう、と私は小さなウサギの絵文字を添えて返信した。

 

 

駅の前の商店街を抜けると突き当たる道路沿いにあるカフェで、彼は1人待っていた。

 

目が合い、小さくお辞儀すると、彼は笑顔で小さく手を振った。

 

 

「お久しぶりです、今日は急にごめんね。」私がそう云うと、彼は少し困ったように「久しぶりだねリナちゃん、そんなに緊張感しないでよ、今日はよろしく」と云って右手を差し出し、優しく目を大きく開いた。

 

私はアッとなりながらも、彼の右手を握り、その手がすごく暖かいのに胸が熱くなった。

 

久しぶりに会う彼は、流行りの服を着て、丁寧に髪を整えていた。

 

肌の白い優しい顔は、私の好きな感じでは無かったけれど、彼の写真を見た友人の多くは、いいなぁという顔をする。

 

確かに、彼から漂うオーラは、このオシャレなカフェに誰よりも馴染んでいるようにも思えた。

 

並んで座ろうよ、と彼は私を隣に座らせ、同じパスタのランチセットを注文した。

「リナちゃん最近連絡無いから寂しかったなぁ」

「ごめんなさい、なかなか仕事が忙しくて」

「そんなんだ、もう嫌われちゃったのかと思った。」

「そんなことないです、今日楽しみにしてたの。」

 

彼は相変わらず優しくて、話しやすかった。

 

仕事のこと、友達のこと、旅行のこと、私の話を丁寧に聞きいてくれた。

 

以前聞いたなぁその話、というのがいくつかあったけど、彼の色んな経験も話してくれた。

ランチセットがテーブルに運ばれて、彼は写真を撮ろうとギュッと私に寄る。

 

料理と2人が映った写真は、彼が写真アプリで撮ったフィルターがかかったもの。いい感じだね、と頷きあった。

 

桜を見に行きたい、と私が提案すると、いいね、と彼は私をエスコートするように店を出て、有名な桜スポットがあると言って近くの公園に連れて行ってくれた。

 

天気がもう少し良かったらなぁ、と曇り空に機嫌を損ねそうになったけど、少し冷たい春の風が肺いっぱいに充満して、彼の優しい右手の暖かさがあって、幸せだなぁと体がすごくリラックスしていた。

 

 

 

湖がある、と彼が云ったのは、公園にある人工のため池のことで、その湖のようなため池の周りを、桜の木が等間隔に並んでいた。

 

平日だというのに花見をする人たちが結構いて、綺麗に咲いた桜の下にはどこも花見が始まっており、満開では無いけれど、人気が少ない芝生が広がった桜の木の下には2人で座る。

 

花見なんて久しぶり、私は芝生の上に豪快に横になった。

 

膝枕してほしいな、久しぶりに会う彼にも慣れてきたのか、思いもよらない言葉が自分の口から飛び出して、彼はニヤリと笑いながら「甘えん坊」と云いながら、スッと軽く私の上半身を持ち上げて、自分の膝の上に乗せた。

 

桜綺麗だね、と云いながら写真を撮ったりしながら、私たちは取り止めのない会話をして時間を過ごした。

 

ここ最近、ずっと仕事が忙しくて、週に一度取れる休みは、睡眠不足を解消するようにずっと眠りについていた。

昨日彼に急に会いたくなって連絡すると、3時までなら、とランチをすることに決まったときはウキウキした。

 


そろそろ行こうかな、と彼はスマートフォンで時間を確認し、うん、と云って一緒に駅まで歩いた。

 

彼は、時間が取れなかったことを申し訳なさそうに「またら今度いっぱい時間とるから」と云ったけど、私よりもずっと忙しい彼と、こんな風に過ごせるのもまたずっと先だと分かっていた。そんな私の思いに気づいたのか、彼は私にギュッと近づいて私たちはキスをした。

 

彼は、優しく笑って、また連絡してねと云って帰っていった。

 

 

 

 

 


帰りの電車、彼の感触が残る自分の唇にそっと触れた、指についた口紅は、真っ赤な桜の花びらみたいに見えた。

 

スマートフォンを出して、さっき撮ったばかりの写真を見返す、カフェでの写真、公園での写真が30枚ほど保存されている。

 

2人分のランチセットが映った写真と、自撮りする私の顔と、その後ろに桜を見上げる彼の後ろ姿が映った写真を選択し、インスタグラムに共有する、のボタンを押す。

 

[今日は久しぶりのデート。お互い忙しいから少ししか時間が取れなかったけらど満足満足]そうコメントを打ち込み、選んだ2枚の写真と共に投稿した。

 

メッセージを開き、彼に「今日はありがとう、インスタグラム投稿したから見といてね」と送った。彼は1分も経たないうちに「短い時間だったけど、楽しかったよ。また会おう。」返信してくれた。

 

 

なんだか一仕事を終えたような気持ちになって、電車を見渡した。殆どの人が一人で、平日だから仕事なのかぁと色々と考えた。

 


赤いハートマークに紙飛行機のイラストが書かれたアイコンからメッセージが来た。

 

【キュートナイン】と呼ばれる会社は、今別れたばかりの彼が所属する会社だ。

 

 

メッセージを開く。

 

 

 

 


本日はキュートナインのご利用ありがとうございました。以下、本日の利用料金になりますので、ご確認ください。間違いなければこちらのメールに返信は不要です。またのご利用お待ちしております。

 


日時:4月10日(火)11:00-2:00

レンタル彼氏三時間パック

 


 基本料金:6500円

オプション

SNS用写真撮影(顔なし):5000

膝枕:5000

キス:8000

 

合計代金:24500円

 

 

 

子供のインターネットとの向き合い方

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この春小学校に入学する甥っ子がいてますが、彼も自分のタブレットを所有してて、ちっちゃい指でスクリーンをひょいひょい動かすのが可愛いのです、すごく。

 

 

ゲームしたり、HIKAKIN見たり、自分たちオトナが熱中するのと同じように、彼もネットに夢中、んでそれが小さい子供の成長に、彼らが大人になったときにどんな意味を持つのかは誰にも分からんわけで、それを頭ごなしに禁止する母親もどうかと思うわけです。

 

とはいえ、一日中ずーっと画面見てるのはやっぱりどうなのよ、今の自分がそうであるので、注意する権利なんぞこれっぽちも持ち合わせてないけれど、そゆことも考えていくのが大人の責任なのでは、と考えたりしています。

 

 

 

 

 

 

 

落合陽一(大学教員・実業家)が出てるYouTubeをちらほら見てる。

ヨージヤマモトで揃えてるらしい魔法使いみたいな格好して、自由と独創性を象徴するような前髪垂らしながら、息継ぎのたんびに斜め右が気になる様子で持論を展開してはります。

 

なんや、あの見るからに天才感、あいつは間違いなく俺と違う世界を見てる、と思わせる存在。

 

 

で、そんな落合先生が、これから必要とされる人材、それを見据えての教育論をご教示されてたわけ。

 

もぉなんや詳しいことは忘れたけれど、今、日本で行われてる教育に鋭く切り込むわけ。それを隣で聞いてるオジさん(田原総一郎)はポッカーン、からのニヤリ。なんのニヤリや、理解不能すぎる故のニヤリなんか、ええこと言うな若者、的なもんなのか。

 

そんな落合先生は、息子にスマートフォンを買い与え、ネット教育バッチリな様子である。

 

 

そんな感じでネットには色んな意見が溢れてるわけですが、

落合先生みたいな意外性あり切れ味良し、なご意見はキャッチーなタイトルつけられて、YouTネットては大人気の閲覧数を稼げるコンテツ、なわけです。

 

分かりやすいし、胸はすくし、先端やし、

そんな情報に触れてる俺も最先端やし、

でどんどん見てしまうのである。

関連動画を制覇した後には、自分はなーんにもせんでもレベル上がったと思えたりするは大きな勘違いであると自覚しつつ。

 

 

で、そーゆ意見も取り入れつつ、子供たちのことを考えたり、ちょい先の世界を考えたりする。

 

色んな人のそれぞれの角度からの意見を取り入れるほど、考えるほど、正しいもんなんか無いような気がしてきて、全て投げ出して先生のご意見の作者名だけ書き換えて、自分の意見としてやってきたい、と思ってしまう。

 

 

子供たちの未来のために。

 

んでもまぁ、子育て最前線で怒涛の日々を送るママさん達には、そんなことどーでも良いと思えるし、実際どーでも良いことなんです、とも思う。